鳥の症例

セキセイインコの卵詰まり

お腹が腫れているという主訴で女の子のセキセイインコが来院されました。

外見を診てから触診を行うと確かにお腹が腫れていそうです。

レントゲン検査をしてみると・・・

お腹の中に卵がありました。

 

一般的に鳥は排卵後24時間以内に産卵が行われ、腹部に卵が触れてから24時間以内に卵が産まれない場合、卵詰まりと考えられます。放置すると命に危険が及ぶ可能性もあるため、今回は用手にて腹部を圧迫して卵を排泄させることになりました。

 

問題なく卵を排出させることが出来たので良かったです。今後は食事制限などを行い発情を抑制できるようにしていく必要があります。

 

セキセイインコの卵詰まり(卵づまり、卵停滞、難産、卵秘)

 

セキセイインコの卵詰まり(エッグバインディング)は、メスのインコが卵を産む際に卵が体内で詰まってしまい、排出できなくなる状態です。これはセキセイインコにとって命に関わる危険な状態で、早急な対処が求められます。

1. 卵詰まりの原因

卵詰まりの原因はいくつかあり、特に以下の要因が関係しています。

  • カルシウム不足:カルシウムは卵殻の形成や筋肉の収縮に必要で、不足すると卵殻が薄くなり、卵が産道で詰まりやすくなります。また、筋肉が十分に収縮できず、卵を排出しにくくなります。
  • 栄養不足:ビタミンやミネラルの不足も卵詰まりのリスクを高めます。
  • 肥満:肥満は卵の排出を難しくし、卵詰まりを引き起こしやすくします。
  • 年齢:若すぎる、または年をとったメスのインコでは、産卵に必要な筋力が十分でないため、卵詰まりのリスクが高まります。
  • 産卵回数の多さ:過剰に産卵を繰り返すインコは、体力が消耗して卵詰まりが起こりやすくなります。
  • ストレス:環境の変化や過度のストレスが影響して、産卵がスムーズに行えなくなることもあります。

2. 卵詰まりの症状

卵詰まりの初期症状はわかりにくいこともありますが、次のような兆候が見られることが多いです。

  • お腹が膨れている:卵が詰まっていることで、お腹が不自然に膨らんで硬く感じられます。
  • 羽をふくらませてじっとしている:元気がなく、動きが少なくなり、羽をふくらませることが多くなります。
  • 呼吸が荒くなる:呼吸が苦しそうになり、尾羽が大きく上下に動くことがあります(「尾羽バタバタ」)。
  • 排泄異常:卵が詰まっていることで排泄が難しくなり、便の量が少なかったり、出にくくなったりします。
  • 食欲不振:食欲がなくなり、水もあまり飲まなくなることがあります。

3. 卵詰まりの診断

  • 視診と触診:お腹の膨らみや異常を確認します。
  • レントゲン検査:卵が詰まっている場所や大きさ、位置を正確に把握するためにレントゲンを撮ることが多いです。
  • 超音波検査:卵の状態や周辺組織の確認をするために使用されることもあります。

 

4. 卵詰まりの治療

一般的な治療法

  • カルシウム補給:カルシウム剤の注射や経口投与により、筋肉の収縮を助け、卵の排出を促します。
  • オキシトシンの投与:獣医師が必要と判断した場合、オキシトシンというホルモンを注射し、卵の排出を促進することがあります。ただし、使用には慎重な判断が必要です。
  • 手術:卵が非常に大きく、用手法で排出できない場合、外科手術が必要になることがあります。

5. 卵詰まりの予防

卵詰まりを防ぐためには、以下の対策が効果的です。

  • バランスの取れた食事:特にカルシウムやビタミンDを含むサプリメントを適切に与えることで、卵殻がしっかりと形成されるようにします。
  • 適度な運動:ケージ内でインコが自由に動ける環境を整え、筋力を保つことが重要です。
  • 繁殖行動の抑制:繁殖環境を避け、巣箱や鏡、発情を促すようなアイテムは取り除きます。
  • 日照時間の調整:長すぎる日照時間は繁殖行動を活発にするため、日照時間をコントロールし、夜はケージにカバーをかけて睡眠環境を整えることが役立ちます。