トカゲの症例

ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)の卵詰まり手術

ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)が長い間食べていない、痩せてきたという主訴で来院されました。診察させて頂き、レントゲン検査やエコー検査をしてみると、大きな卵がお腹の中にあり卵詰まりによって弱ってきているのではないかと疑われました。しばらく、産卵床を用意して頂いたりとか、人工飼料の強制給餌などをして頂いたものの改善が無いため、飼い主さまとご相談の結果、このまま見てみても状況が改善する望みがほとんど無いと思われることから、開腹手術を行い卵を摘出することになりました。

↑麻酔を掛けて寝て貰います。犬や猫と同じ吸入麻酔薬(イソフルレン)を使うことができます。手術中は栄養チューブを気管挿管して人工呼吸を行いました。

↑手術後の様子。卵が2つ摘出でき、お腹がペッタンコです。

↑麻酔からも問題なく覚めてくれました。その後、食欲も出てきて、尻尾も太くなり元気に回復してくれました。

 

◎ヒョウモントカゲモドキの卵詰まり(卵閉塞)は、女の子に多く起こる疾病です。この状態は、卵が体内で詰まってしまい、正常に産卵できない状態を指します。

卵詰まりの原因
栄養不足: カルシウムやビタミンD3の不足は、卵殻が固くなるのを妨げ、卵詰まりを引き起こしやすくします。
ストレス: 飼育環境の変化、過密飼育、繁殖時の不適切な環境などがストレスを引き起こし、卵詰まりのリスクを高めます。
産卵場所の不足: 産卵用の適切な場所がないと、トカゲが卵を産むのをためらい、体内で卵が詰まることがあります。
体力の低下: 年齢や健康状態が悪いと、産卵に必要な体力が不足し、卵詰まりを引き起こすことがあります。

症状
食欲不振: 卵が詰まると、食欲が低下し、餌を拒否することが多いです。
活動性の低下: 動きが鈍くなり、元気がなくなることがあります。
腹部の膨張: 腹部が膨らんで見え、触ると硬い感じがすることがあります。
呼吸困難: 重度の場合、呼吸が浅く、困難になることがあります。

対処法
環境の改善: 産卵用の湿った土や苔を入れたシェルターを提供し、安心して産卵できる環境を整えることが重要です。
栄養補給: カルシウムとビタミンD3を十分に与え、栄養バランスを保つことが予防に繋がります。
動物病院での診察: 卵詰まりが疑われる場合、レントゲン検査や超音波検査で状態を確認します。

治療
薬物療法: 軽度の場合、ホルモン注射(オキシトシン)などで卵の排泄を試みることもあります。
外科的処置: 重度の場合、卵を取り除くために手術が必要になることがあります。

詰まりは放置すると命に関わる可能性がある疾患です。飼育環境を整え、日々の観察を怠らないことが、予防の鍵となります。