カメの寄生虫の治療について
カメの寄生虫(回虫)の治療について
爬虫類の寄生虫は、輸入された爬虫類に寄生したまま国内に入ってくることが多いと言われています。特に野生個体では何を持っていても不思議ではないのは容易に想像できます。動物病院で診察をしていても便検査をすると寄生虫が見つかることが時々あります。
今回来院されたカメさんは、「便に白い虫が出てきた」ということで連れて来られました。診させていただくと、どうやら回虫類のようです。
回虫類は爬虫類に寄生する線虫の中でも病原性が高い(爬虫類にとっては悪い虫)とされています。感染は、幼虫の形成された虫卵を経口摂取することで起こります。孵化した幼虫はまず肺に移行して、気管、食道へと再び消化管に戻ります。肺を移動中の幼虫は2mm程度から2cm程度に大きくなるため、カメへのダメージが大きくなります。そのため、幼虫の移行期には、呼吸器症状が出てくることがあり、消化管の中で成長すると10cm程度にもなることがあり、腸閉塞を引き起こすこともあります。駆虫薬を投与すると、虫が死滅して腸閉塞を起こすこともあるようです。
治療には、フェンベンダゾールという内服薬を使ったり、プロフェンダーという経皮投与薬をつかっていきます。犬や猫に使われるイベルメクチンという薬をカメに使うと副作用が強く出ることがあり禁忌です。