ウーパールーパーの症例

ウーパールーパー知っておくべき【なりやすい4つの病気】

実は当院にはウーパールーパーのうぱるぱくんが住んでいます。

サンショウウオではなく、黒色っぽいウーパールーパーです

ウーパールーパーはあまり飼育されている方も多くなく、正確な情報も乏しいのではないでしょうか。

とくに病気かな?と思っても病気の情報も少ないですよね。

そこでウーパールーパーを飼っている方、飼いたいと思っている方に向けて、今回は、ウーパールーパーについて書いてみます。

 

ウーパールーパー(アホロートル、メキシコサンショウウオ)

一般的にウーパールーパーと呼ばれていますが、学術的にはアホロートルもしくはメキシコサラマンダー(メキシコサンショウウオ)が正しい名称です。
日本では1985年に日清食品のやきそばUFOのCMに登場してから一大ブームが引き起こされました。

↑日清UFOのCM

生息地
メキシコのソチミルコ湖
ところが今、原産国メキシコでは野生のウーパールーパーが絶滅に瀕しています。本種は、ワシントン条約で野生個体の商取引は禁止されており、野生の個体はほぼ絶滅してしまいました。

生息地はメキシコシティ南部に位置するソチミルコ湖周辺のみですが、湖が埋め立てられ無秩序な都市開発と水質汚染によりどんどんすみかを奪われています。

生態
アホロートルは比較的寒冷な地域に生息しています(ソチミルコの平均気温は12度から15度)。野生の生息地は湧水と雪をかぶった山々からの冷たい水が流れ込んでおり、水温が上昇して24°Cを超えると(夏の暑い時期など)、食欲不振、腹水、プカプカ水面に浮いてしまったりする症状を示すことがあります。

別記事はこちら ⇒ ウーパールーパー(日本の夏の過ごし方

特徴
大きさ:20~30cm程度
寿命:6~10年(最長15年)

品種
アルビノ
リューシスティック
マーブル
ブラック
ゴールデン
トリコロール
など様々なカラーバリエーションがあります。

雌雄鑑別
成熟すると、雄は雌より大きくなります。また、総排泄孔周りが雄では膨らみ、雌では平坦です。

飼育
何でも動くものを捕食する性質があるため、基本的に単独飼育が望ましいです。完全水棲(水場:陸場=10:0)で、肺呼吸もするが鰓や皮膚呼吸への依存度が高く、金魚のように水槽で飼育します。水深は肺呼吸を行う際に楽に水面に出られるように全長と同じくらいにして、水はカルキ抜きをして、ろ過器を設置するか頻繁に水を替える必要があります。

水槽の中に隠れる場所を用意してやるとストレス防止になります。床の砂は誤食の危険性があるため、使わない方がよく、止水を好むためろ過機などの流れが急にならないようにします。

アホロートルは冷たい水を好み(5~15℃)、高温には弱いため20℃以上にはしないようにします。特に夏の高温期には水温を下げる必要があります。

〇病気の種類
アホロートルの病気を引き起こす最も一般的な原因は、水流が早すぎることと、24°Cを超える温度、汚水(不適切な水の管理の結果)、急激な温度変化、未処理の水道水、寄生虫、および他の魚などからの感染症があります。

とくに水質は重要で、不十分な水質管理によってアンモニアまたは亜硝酸の蓄積(または、ろ過されていない水槽では、定期的な水の交換不足)は、放置しておくと数日で致命的となります。

1、皮膚病
細菌性皮膚炎:エロモナス、プロテウス、シュードモナス、アシネトバクター、アルカリゲネス、コラムナリスなどの感染
真菌性皮膚炎
寄生虫性皮膚炎

ホルトフレーター溶液(←動物病院で処方できます)抗生物質などの薬浴や、注射などをおこない治療をしていきます。

2、外傷
エラ、四肢の喪失、ヒレの損傷などの物理的損傷です。傷が感染しない限り、自然に治ります。外傷ができた場合は、清潔で冷たい水の中に置いておく必要があります。両生類にちょうど良い濃度のホルトフレーター溶液(←動物病院で処方できます)を感染の可能性を減らすために使用するとよいでしょう。創傷治癒は常温よりも低い温度でより急速に起こり、回復にはより低い温度(5-15°C)が適しているようです。時々、仲間に食べられたりして手足の一部を失うことがありますが、よく給餌し、冷温を保ち、環境を良好な状態に保てば、回復することが期待できます。

※注意事項:魚の治療薬はアホロートルに対して有毒である可能性があり、専門家に相談せずに使用することはお勧めできません。

両生類は皮膚から化学物質をとても簡単に吸収し、中毒を引き起こすことがあります。魚の薬で使用される最も一般的な化合物の2つは、マラカイトグリーンとメチレンブルーです。

マラカイトグリーンは両生類にとって有毒なことがあるため使わない方が良く、メチレンブルーは低用量であればアホロートルに使用しても安全ですが、最小用量から使用していきます。

3、異物誤食

床の砂などを誤食することがあります。誤食してしまった場合、口からピンセットなどで取り除いたり、麻酔をかけたうえでお腹を開けて摘出することもあります。
4、メキシコサラマンダーの転覆症候群
Mexican salamanders buoyancy syndrome(MBS) 通称:風船病、浮遊病、ぷかぷか病

MBSとはアホロートルが水面に浮かんでしまう状態をいいます。いまのところ原因は不明とされていますが、外傷、体腔内ガス、肺疾患、消化管閉塞、神経疾患などが推測されています。

内科治療(体腔内ガスの吸引、抗生物質の投与など)や外科治療(肺など病変部の切除など)を行います。

 

基本的に、温度管理などの環境を整えてあげていれば、あまり病気になりにくい生き物です。

調子が悪ければ当院までご相談ください。