避妊手術・去勢手術について
多くの動物病院で行われている去勢手術・避妊手術ですが、全身麻酔を行っての精巣または卵巣・子宮の摘出手術であり、決して「簡単な処置」ではありません。
垂水オアシス動物病院では、去勢手術・避妊手術の際にも十分に安全に配慮した麻酔を行うとともに、積極的に痛みのケアを行い、腹腔鏡を用いてきずの小さな手術を行うなど、動物にやさしい手術を行なっています。
去勢手術・避妊手術のメリット
去勢手術(男の子)
- マーキング行動やスプレー行動が抑えられます。
- 精巣や前立腺などの病気の予防につながります。
- 縄張り意識が減り、性格が穏やかになります。
避妊手術(女の子)
- 望まない妊娠を防ぐことができます。
- 発情に伴う鳴き声や出血、体調不良がなくなります。
- 卵巣腫瘍や子宮蓄膿症、乳腺の腫瘍など病気の予防につながります。
将来の不幸を防げるのは飼い主様だけです
避妊・去勢手術は妊娠させないためでなく、生殖器系の病気を予防することができます。
避妊・去勢手術は生後6ヶ月から実施可能です。交配の予定がないのであれば、手術をするかどうか早めに一度考えてみて下さい。
去勢手術
去勢手術は、オスの精巣を手術によって摘出し、子供を産むことができないようにする手術です。
去勢手術には、不妊の他に「攻撃性の低下」「発情による問題行動の軽減」「性ホルモンが関わる病気の予防」といったメリットがあります。
去勢手術のメリット
- マーキングをあちこちでしなくなる
- 交配できないストレスが軽減する
- 攻撃性が低下する
- 性格が穏やかになる
- 病気の予防
去勢手術によって予防できる病気
- 精巣の腫瘍
- 前立腺肥大
- 前立腺炎
- 会陰ヘルニア
- 肛門周囲腺腫
去勢手術後の注意点
食事量が20%増加し、エネルギー消費量が30%減少します。つまり、去勢手術をしたわんちゃん、ねこちゃんは、太りやすくなります。
去勢手術後は、太らせないようご飯の種類や量の調節が必要になります。手術後のフードの選び方についてはご相談下さい。
避妊手術
避妊手術は、卵巣のみ、もしくは卵巣と子宮を取り除く手術です。手術を行うことで望まない妊娠や子宮蓄膿症、乳腺腫瘍などの病気を防ぐことが出来ます。また、発情時の出血やストレスも軽減することができます。
避妊手術のメリット
- 偽妊娠に伴うストレスがなくなる
- 発情出血を防ぐ
- 発情時の鳴き声が軽減
- 病気の予防
避妊手術によって予防できる病気
- 卵巣の腫瘍
- 子宮蓄膿症
- 腟脱
- 乳腺腫瘍
避妊手術後の注意点
食事量が20%増加し、エネルギー消費量が30%減少します。つまり、避妊手術をしたわんちゃん、ねこちゃんは、太りやすくなります。
去勢手術後は、太らせないようご飯の種類や量の調節が必要になります。手術後のフードの選び方についてはご相談下さい。
神戸市で避妊手術、去勢手術をお考えの方へ
垂水オアシス動物病院の避妊・去勢手術について
犬や猫をがお家に来てしばらくした6か月齢頃になると、そろそろ避妊手術や去勢手術を受ける時期になってきます。そろそろ手術を受けないといけないという動物を飼育されている飼い主さんに向けて、避妊手術、去勢手術について説明をしたいと思います。
当院における避妊・去勢手術の特色
- 術前検査を希望される場合は、しっかりと術前検査を行い、
- 最新の獣医学に基づいて、安全な麻酔と麻酔時のモニターを行い、
- 縫合糸から発生する疾患(無菌性脂肪織炎)を避けるために最新鋭の医療機器(ソノサージ、半導体レーザー)を使用して体内にはなるべく糸を使わない手術を行い、
- 術中や術後にも鎮痛薬を使用して適切な疼痛管理を行い、
- 外科を得意とする経験豊富なベテラン獣医師が手術を行い、
- 痛みや身体への負担が少ない腹腔鏡手術を導入し避妊手術を行うなど、
当院では現在考えうる最善、最良の麻酔や手術を行うことを目標にして手術を実施しています。
避妊手術は外科を専門的に行っていない動物病院でも行われる手術ですので、一般の方からは簡単な手術と思われがちです。しかし、実は安易に行われるために、事故が起こる確率が比較的高い手術です。
当院では避妊手術も去勢手術も、他の手術と同じように、消毒・滅菌も完全に行い、滅菌ドレープを使用し、手術衣・手袋・帽子・マスク等を使用して万全の態勢で手術を行います。
麻酔は安全な吸入麻酔を使用し、各種生体モニターを装着して安全を第一に手術を行います。
また最近では、縫合糸を体内に残すことで起こる肉芽腫がダックスフントやチワワなど犬種を問わず多く報告されていますので、当院では極力縫合糸を体内に残さないよう、超音波凝固装置(ソノサージ)や半導体レーザー装置を使用して止血を行い、体内に極力縫合糸を残さない手術を行っています。
参考文献⇒卵巣子宮摘出後に縫合糸反応性肉芽腫が疑われた犬 22症例における長期予後と併発疾患の臨床的解析
↑血管を結紮止血する様子
左側:通常通り糸で結紮する場合 右側:超音波凝固装置(ソノサージ)を使用した場合
最新鋭の機器を使うと安全に手術が可能であり、手術時間が短縮され、麻酔時間も短くなり、
糸を使わないため縫合糸に対するアレルギー反応が生じることがありません。
↑超音波凝固装置(ソノサージ)
↑半導体レーザー装置
近年、動物の痛みに対する考え方は大きく変わってきています。去勢手術や避妊手術であれ、当然大きな「痛み」を伴います。
日本で 206 名の獣医師を対象に行ったアンケート調査の結果においては、
「少しぐらい痛がっている方が大人しくできる」
「痛み止めを使うと傷の治りが悪くなる」
というような考え方が一般的で、去勢手術、避妊手術、歯科処置においては術後(処置後)鎮痛薬を処方しない、もしくは処方しても 1-2 日程度という動物病院がほとんどなのが現状だそうです。
しかし、積極的な手術前、手術中、手術後まで鎮痛を行うことで、麻酔の安定性が高まり、麻酔薬が減量でき、麻酔からよりスムーズに覚醒する事が出来るようになります。
そのため麻酔薬による副作用も軽減する事が出来るのです。
また 獣医学領域における世界的な痛み管理のガイドラインである「Guidelines for Recognition, Assessment and Treatment of Pain」においても犬の避妊手術および去勢手術では少なくとも術後 5 日程度、猫の避妊手術および去勢手術では少なくとも術後3日程度の術後鎮痛を実施すべきである、とされていることから、当院では術後5日間の疼痛管理をしっかりと行っています。
当院の手術の流れ
※手術は予約制です。前もって事前に来院して頂き、手術前の注意事項などをご説明したうえで手術の予定日を決定します。
避妊手術の場合、腹腔鏡で行うのか、開腹手術で行うのかをご相談の上決定します。
※電話でご予約も可能ですのでご希望の場合は、診察時間内にお電話ください⇒垂水オアシス動物病院 TEL: 078-707-2525
手術前日
- 夕食は夜の10時までに済ませること(全身麻酔中には胃を空にしておくことで、誤嚥による窒息を防ぎます)
手術当日
- 朝9時~10時までにご来院ください
- 手術の説明とお預かり
- 手術前の術前検査
術前検査として、血液検査(血糖値、肝数値・腎数値・赤血球数・白血球数・血小板数など)胸部X線検査、心臓エコー検査、凝固系血液検査などを希望により行います。
※術前検査は、強制ではないため、飼い主さんが検査を希望された場合に実施しております。
術前の説明用紙に、術前検査(血液検査、レントゲン検査、凝固系検査など)を選択して頂けるようにチェック欄があるため、飼い主さん自身に実施の有無を選択して頂きます。
- 血液検査
貧血があるかどうか、肝臓や腎臓に大きな問題が無いか検査します。
- 胸部X線検査、心臓エコー検査
手術前に胸部のX線検査、心臓エコー検査を行います。
術前検査について
呼吸器系や心臓に生まれつきの異常があるケースもあるため、生まれてから一度もレントゲン検査やエコー検査を受けたことの無い場合や、中高齢の場合は、健診も兼ねてみておくことをお勧めしています。若い子でも先天的な異常が見つかることや、高齢の子では、手術予定の病気以外にも隠れた異常が見つかることがあるため、必要と考えられる検査を組み合わせて実施することをお勧めしています。
- 凝固系血液検査
垂水オアシス動物病院では、手術前には基本的に凝固系検査を行うことをお勧めしています。凝固系検査とは、出血をしたときに、血を止める能力(凝固能)があるかどうかを調べる検査です。この凝固能に異常があった場合、ちょっとした出血が止まらずに命を落としてしまうことも考えられるからです。当然、人では手術前に当たり前のように行われる検査です。
しかし、動物病院では、まだこの凝固系の検査を術前検査として行っている病院は今だ非常に少ないのが現状です。
たしかに、ほとんどの子はこの凝固系検査に異常がでることはなく、問題なく手術を行うことができます。しかし、非常に少ない確率ですが、この凝固系検査に異常がある動物がいます。
このことに気がつかずに手術を行うと場合によっては命を落と可能性もあるため、安全に手術を行うためには必要な検査です。
↑猫の血液凝固障害は稀な病気?
「これまで猫の血液凝固障害は犬に比べてまれであると考えられていました。しかし、これは凝固検査が適切に行われていないことによる誤った認識で、実際にはより一般的な病態であることが明らかになってきました。最近の研究では、避妊手術の目的で来院した猫44頭中3頭にAPTTの延長が認められたと報告されています。これらの症例はいずれも出血症状はないものの第Ⅻ因子の活性が重度に低下していたことが確認されています。APTTの延長は以上となる凝固因子によっては、出血リスクを伴う場合があります。出血症状のない猫であっても、不妊手術や生検など出血する可能性のある処置を行う前には、必ず凝固検査を実施することが重要です。」(出典:alphaVet2020年02より)
↑COAG2NV:動物用血液凝固系測定装置
麻酔
- 麻酔前投薬(より安全に麻酔を掛けるために行います
- 抗生剤+痛み止め
- 注射留置針設置(緊急時の緊急薬点滴投与のための血管確保、手術中も点滴を行います)
- 挿管(誤嚥防止・ガス麻酔をおこなうため)
- ガス麻酔(注射麻酔より安全性が高い)
- 麻酔管理(心拍・心電図・呼吸・酸素飽和度測定、保温)
去勢手術(左右両精巣摘出術/男の子)
最新鋭の血管シーリング装置で精管と血管を閉鎖して精巣を摘出します。
↑半導体レーザー装置
避妊手術(子宮・卵巣全摘出術/女の子)
血管シーリング装置で卵巣・子宮の血管を閉鎖して卵巣を摘出します。
↑超音波メス(ソノサージ)
術後は、エリザベスカラー or 術後服で傷を保護されることをおすすめします。(術後服は、エリザベスカラーがストレスになるデリケートなワンちゃんにお勧め。)
- 傷口の縫合に用いる縫合糸は溶けて体内に残らないものを使用します。体の中で使用する糸…溶ける糸を使用します(数ヵ月ぐらいで吸収されます)
- 皮膚縫合…10日~14日後に抜糸します
手術当日の夕方~
- お迎え(術後の説明)
避妊・去勢手術の場合は日帰り手術のため、当日の夕方6時以降にお迎えにきて頂きます。 - 去勢手術・避妊手術どちらも1~3日後に再診、術後7~10日前後で抜糸を行います。
さいごに
長い解説を最後までお読み頂き、ありがとうございました!さらに詳しくお知りになりたい方は、お電話、またはご来院にてお尋ねください。
手術をご希望の方は、お電話でもご予約をお取りできます。