眼科について

目が赤い、目をショボショボさせている、目ヤニが出る、目が白くなってきた、物にぶつかるようになってきたという症状でご来院頂くことが多いです。

目に付きやすい場所である反面、気付かないうちに症状が進行していることも少なくはないことから、何か気になることがあればお気軽にご相談ください。

 

眼科においてもまずはしっかり問診を行い、視診で動物をよく観察します。

目の病気は遺伝的素因に関連して、特定の犬種に多く見られるものもあります。

例:柴犬の緑内障、アメリカンコッカースパニエルの緑内障や白内障、ミニチュアダックスフンドのPRA(進行性網膜萎縮症)

また目は脳に直結していますので、症状が目だけの問題なのか脳神経の異常により引き起こされているのかを神経学的な検査を行って判断する必要があります。

糖尿病、高脂血症、高血圧などの内科疾患と関連する目の病気もありますので、常に全身疾患との関連はないか念頭に置きながら診察を行っています。

 

院内で行う眼科検査

涙液量検査

涙の量を測る検査です。主にドライアイの診断に用います。継続治療の場合は、ご自宅での点眼が検査結果に影響を与える場合がありますので点眼せずにご来院ください。

角膜染色検査

目の表面に傷がないかと、鼻涙管閉塞の有無を調べるため

スリットランプ検査

目の構造を眼瞼から硝子体前部までを拡大して詳しく見ていきます。眼球の断面構造を観察できますので傷の深さや場所などを正確に把握できます。

眼圧測定

緑内障の診断に有用です。興奮したり、首元を締めすぎたりすると数値に影響を与えますので、安静にさせて正しい姿勢で測定を行います。

眼底検査

当院では通常の倒像鏡に加えて、クリアビューでの眼底検査も可能です。網膜や視神経の鮮明な画像を素早く記録し、パソコンの画面でお見せ出来ます。

眼科超音波検査

外観からは分からない眼窩や虹彩毛様体の腫瘤や出血、網膜剥離、水晶体脱臼などの診断に有用です。角膜混濁や眼内出血で眼の中が見通せない時に役立ちます。

 

ここからは、よく診る目の病気とその治療法についてご紹介していきます。

角膜びらん・潰瘍

目の表面にある透明な角膜に傷が付くことで起こります。異物や外傷、シャンプー、まぶたの内側に生える睫毛の刺激などによるものが多いです。傷の大きさや深さにより、点眼や内服、コンタクトレンズなどの内科治療をするか、外科治療を行うかを選択します。

 

ドライアイ(乾性角結膜炎:KCS)

拭いても出てくる多量の目ヤニや色の付いた目ヤニといった症状が出ます。

顔面神経麻痺の有無や内分泌疾患、ワクチンや投薬歴などを確認し、二次的に症状が出ている場合は原因疾患の治療も行います。免疫介在性の場合は、通常の目洗浄や抗菌剤の点眼に加えて免疫抑制薬の点眼薬も使用します。

 

白内障

水晶体という目のレンズ部分が白濁し、進行に伴い視力障害を起こします。

加齢に伴う病気のイメージがありますが、犬種によっては遺伝的要因により若齢(6歳以下)で発症します。また、目の中の炎症であるブドウ膜炎や続発性緑内障などの併発疾患を引き起こす可能性もある病気です。進行がゆっくりな場合や点眼薬で進行の程度を抑えられる場合もありますが、根本的な治療は外科手術になります。

 

緑内障

眼球の内圧は房水が流れることで一定に保たれていますが、房水の流出が阻害されることで発生します。眼圧の上昇により、眼球に疼痛が起こります。また網膜血管の圧迫により、網膜や視神経が機能を失っていきます。点眼薬や点滴で眼圧を下げる内科治療や、手術による外科治療を行います。

 

ブドウ膜炎

眼球内部の虹彩や毛様体、脈絡膜などの血管にとんだ膜部分に炎症が起こる病気です。

なかなか治らない目の充血や痛みはブドウ膜炎の可能性があります。

白内障や緑内障といった目の病気から緑内障が続発する場合と、免疫疾患やリンパ腫、子宮蓄膿症などの全身性疾患から二次的に発生する場合があります。

抗炎症薬の点眼と内服を行い、原因となっている病気があればそちらの治療も行います。

 

網膜剥離

網膜はカメラに例えるとフィルムにあたる組織で視力に深く関わっていますが、その網膜がはがれて浮き上がってしまうことで視覚情報が脳に伝わらなくなってしまいます。

眼内出血や充血、左右の瞳が不対称、視覚喪失を理由に来院されることが多いです。高血圧やブドウ膜炎などの疾患がある場合はその治療を行いますが、網膜が完全にはがれて経過が長い場合は視覚の回復は難しくなります。