犬の腹腔内陰睾(潜在精巣)を腹腔鏡手術で摘出(ゴールデンレトリバー)
去勢手術を希望されてゴールデンレトリバーのワンちゃんが来院されました。さっそく身体検査をすると、片側の精巣が陰嚢の中に降りてきていない事が判明しました。通常では犬の精巣は出生前~生後2か月までに腹腔から鼠径部を通って陰嚢内へ移動します。しかし、何らかの原因で下降が妨げられると、陰睾(潜在精巣)と呼ばれる状況になってしまいます。このまま去勢手術をせずにいると、精巣腫瘍になる確率が正常の子に比べて14倍高いと言われていることもあり、去勢手術を実施することになりました。
当院では腹腔内陰睾の去勢手術に腹腔鏡を用いて手術を行っており、今回も腹腔鏡にて潜在精巣を摘出しました。通常の開腹手術でも問題無く手術可能ではあるのですが、術者の手や指が入るようにある程度は大きく切開しないといけないところ、腹腔鏡を用いると大きく切開せずとも5~10mm程度のきずが2カ所程度で手術が完了できるため、動物にとってメリットが大きいと思っています。
↑通常の去勢手術のきずあと×1カ所と、腹腔鏡のきずあと×2カ所で手術を行いました。(綿棒の頭部分くらいのきずの大きさ)