犬の症例

犬の下顎骨骨折(あごの骨)

動物病院の先生からのご紹介で、下顎骨(あごの骨)を骨折してしまい手術を希望されたワンちゃんが来院されました。

 

お話をお伺いすると、同居のワンちゃんとじゃれていて、顎の骨を骨折してしまったとのこと。その程度では顎の骨を骨折することは無いはずなので、もともと歯周病が重度で骨折してしまったのではないかと思われました。以前にも反対側の下顎骨を骨折して当院にて治療させて頂いた経歴があり、今回も同じようにプレート法で治療を実施しました。

 

犬の下顎骨骨折は、事故、外傷、咬傷、あるいは疾患(骨腫瘍や重度の歯周病など)によって引き起こされることがあります。このような骨折は犬にとって非常に痛みを伴い、治療をしない場合には摂食困難や感染症などの合併症が生じる可能性があります。以下に詳細と対応方法をまとめます。

下顎骨骨折の症状
摂食困難: 食べ物を噛むのが難しくなる。
痛みや不快感: 顎を触ると痛がる。
よだれが増える: 食事中や食後によだれが目立つ。
異常な歯の配置: 歯がずれている、または噛み合わせが悪い。
腫れ: 顎周辺の腫れや炎症。
出血: 外傷に伴う出血。

診断方法
視診と触診: 骨折の疑いがある場合は、顎の状態を慎重に調べます。
X線撮影: 骨折の位置や程度を確認するために必須です。
CTスキャン: より詳細な情報が必要な場合、特に複雑な骨折に対して使用します。

治療法
治療法は骨折の場所、程度、犬の健康状態に依存します。

固定(内科的管理):

 

骨折が軽度の場合、スプリント(顎を固定する装置)やテープを使用して安定させます。
ソフトフードのみを与えることで顎に負担をかけないようにします。

手術(外科的管理):

中度から重度の骨折の場合、プレート、ワイヤー、またはピンを使って骨を固定します。
外科手術後は、適切な術後管理が必要です。

歯科的対応:

骨折が歯周病や歯の損傷に関連している場合、歯科処置(抜歯や感染管理)が行われることがあります。

術後管理
痛みの管理: 鎮痛剤や抗炎症薬を使用。
感染予防: 抗生物質を投与。
食事管理: 柔らかい食事を与え、顎に負担をかけないようにします。
定期的な再診: 骨が適切に癒着しているかを確認します。

予後
軽度の骨折では、適切な治療で良好な回復が期待できます。
複雑な骨折や感染がある場合は、治癒までに時間がかかることがあります。
注意点: 下顎骨骨折は緊急性のある問題ですので、疑いがある場合は早急に獣医師の診断を受けることが重要です。