水棲ガメの卵詰まり手術
卵を産んだ後に調子が悪くなってしまい、しばらく食欲がなく痩せてきたとのことで水棲ガメ(ヒメニオイガメ)の女の子が来院されました。経過から推測すると卵詰まりの可能性が高いためレントゲン検査とCT検査を実施したところお腹の中に卵が入っていました。飼育下の女の子のカメさんには卵詰まりが発生することがよくあります。
かなり状態が悪くなってきており、調子が悪くなってから日数がだいぶ経過し、このまま更に経過を見ても良くなりそうに無かったため、飼い主さまとご相談の結果、卵詰まりを疑い、卵巣・卵管摘出手術を実施することになりました。
気管挿管をして人工呼吸を行います。後足をテープでぐるぐる巻いて固定します。その後、ドレープで身体を覆い術野を消毒します。
卵詰まりの手術方法には、開甲術(甲羅を切って開ける方法)と大腿部の切開術があります。今回は、甲羅を切って開けずに、甲羅の形状から大腿前部からの手術を実施しました。
甲羅を切らないため身体への負担が少なく回復が早い利点がありますが、手術野が狭いため、卵巣や卵管を取り出し難いこともあります。
大腿部の孔から卵巣と卵管を摘出します。
卵巣を摘出するとき、腹腔鏡を併用すると手術し易くなります。
腹腔鏡も使って手術を進めていきます。
大腿前部の孔から卵巣と卵管を摘出した後、皮膚を縫合しました。
手術後、しばらくして麻酔からも覚めてお家へ帰っていってくれたので良かったです。
摘出された卵巣と卵管。
手術後は一時ごはんを食べなかったようですが、しばらくするとペレットを沢山食べるようになってくれました。
カメさんよく頑張ってくれました。