ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)の尻尾の壊死
尻尾がおかしいという主訴でヒョウモントカゲモドキ(レオパ)が来院されました。診させていただくと、尻尾の先が壊死してミイラ化していました。これは脱皮不全が原因で、指や尻尾に脱皮した皮が巻き付いてしまい、血流が悪くなって指や尻尾が壊死して脱落してしまいこのような状況になってしまうのです。
↑尻尾の先が壊死しています
↑壊死してミイラ化した尻尾の先を切除しました
壊死する前に見つけることが出来れば、温浴などで脱皮の皮を取り除いて予防することができます。脱皮をしそうな時は指や尻尾の先をよく観察してみてあげて下さい。
ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー、通称レオパ)の脱皮不全は、飼育環境や健康状態が原因で発生することが多いです。
脱皮不全の原因
- 湿度不足
- 飼育環境の湿度が低すぎると、脱皮がスムーズに行えず、皮が体に残ることがあります。
- 特に湿度が低い地域では注意が必要です。
- 栄養不足
- ビタミンAやカルシウムの不足が原因となることがあります。これらは皮膚や新陳代謝に重要です。
- ストレス
- 飼育環境の変化、他の生体との共存、過剰な触れ合いなどがストレスとなり、脱皮不全を引き起こすことがあります。
- 病気やケガ
- 内臓疾患や感染症、体の一部の損傷が原因で脱皮がうまくいかない場合があります。
- 隠れ家や湿度の確保不足
- 自然環境では湿った場所で脱皮を助けることがありますが、これが飼育環境で不足していると問題が生じます。
脱皮不全の症状
- 皮が体の一部に残る
- 指、尻尾、目の周りなど、特に細かい部分に皮が残ることが多いです。
- 皮膚が硬くなる、または壊死
- 放置すると血流が阻害され、壊死につながることがあります。
- 行動の変化
- 動きが鈍くなる、食欲が低下する場合があります。
対処法
1. 温浴で皮を柔らかくする
- 温かい水(30~35℃)を用意し、トカゲモドキを10~15分間浸します。
- 目の周りなど敏感な部分には水を直接かけず、湿らせた綿棒で優しく拭きます。
2. 皮を優しく取り除く
- 温浴後、湿った綿棒やピンセットで皮をそっと剥がします。
- 皮が取れない場合は無理に剥がさず、次回の温浴に回します。
3. 湿度の確保
- 湿らせたココナッツファイバーやミズゴケを使用した湿った隠れ家を作ります。
- 脱皮不全が続く場合、ケージ全体の湿度を一時的に高めます(60~70%が目安)。
4. 保湿剤の使用
- 爬虫類用の保湿クリームを使用することで皮膚の状態を改善できます。
- 人間用の保湿剤は成分が適さないため、使用を避けてください。
予防策
- 適切な飼育環境
- 湿度:通常時は40~50%、脱皮時は60~70%を維持。
- 温度:昼間は28~32℃、夜間は22~26℃を保つ。
- バランスの取れた栄養管理
- ビタミンやカルシウムを餌に適切に添加し、栄養不足を防ぎます。
- 餌用昆虫をカルシウムパウダーでコーティングし、紫外線ライトを適切に使用します
- 湿った隠れ家の設置
- ミズゴケやウェットペーパータオルを使った湿度の高い隠れ家を常に用意しておきます。脱皮の取っ掛かりを作るために木の枝などを置いてあげるもの良いです
まとめ
- 症状が改善しない場合や皮膚が壊死している場合は、爬虫類を診察している獣医師に相談して下さい。
- 目の周りや指先に皮が残ったまま放置すると壊死につながる恐れがあります。