カメの代謝性骨疾患
爬虫類全般にも言えることなのですが、餌の種類や飼育環境に問題があると、カルシウムが不足してしまい、「代謝性骨疾患」になってしまいます。
代謝性骨疾患とは、体内のカルシウム不足が原因で、骨が脆くなったり、曲がったりする疾患で、飼育管理に問題がある成長期のカメに多発します。
カルシウム不足が続き、甲羅が変形したり、骨が曲がったまま成長してしまうと、治すことが出来なくなるため、カメが若いうちに対処することが重要です!
詳しく解説すると、代謝性骨疾患の原因は大きく2つに分けられます。
①栄養性上皮小体機能亢進症
原因
食餌の中に含まれるカルシウムが不足した場合、リンが多すぎる場合、紫外線(UVB)不足によりビタミンD合成が足りない場合に発生します。
症状
成長期の幼いカメに見られる事が多く、体内のカルシウムが不足すると、骨が吸収されてしまい、骨が脆くなります。このような状態が続くと、甲羅の変形や骨格の変形が引き起こされます。
ひどい場合には、歩くことも出来なくなることさえあります。
診断
食餌のカルシウム含有量を確認し、UVランプなどの照明器具や日光浴の頻度などを確認して診断をつけていきます。
治療
食欲がある場合は、カルシウム含有量の多い食餌に変更し、カルシウム剤(20~50mg/kg1日1回)を食餌に混ぜて与えます。食べない場合は、動物病院にて、カルシウム剤やビタミンD剤の注射を行います。また、ビタミンD合成に重要となる紫外線を浴びるために、日光浴をさせたり、UVBランプを使用する必要があります。
②腎性続発性上皮小体機能亢進症
原因
腎臓の機能が低下すると、リンの排泄障害が引き起こされます。リンが体内に溜まると、カルシウムが排泄されてしまい、低カルシウム血症に陥ります。また、腎臓でビタミンDが活性化しにくくなるため、腸からのカルシウム吸収が低下し、骨が吸収されて脆くなってしまいます。
症状
衰弱し、食欲不振があり、甲羅が柔らかくなったり、変形したりします。
診断
血液検査にて、尿素窒素、尿酸、カルシウム、リン濃度などを測定します。
治療
輸液や抗生剤の投与などを必要に応じておこないます
まとめ
カルシウムをとり、UVBランプを照射したり、日光浴をするなど飼育管理が良くできていれば代謝性骨疾患に罹患しにくくなります。カメを飼育されている方は、食餌や紫外線量などが大丈夫か一度チェックしてみて下さい。