ウサギの食欲不振の対処法
最近、胃腸の運動性が低下して1週間近く食べていない食欲不振のウサギさんを診察しました。
今回はこのことについて。
口から食べた食事は胃や腸を通過し、消化され便になります。食事がすんなりと便になり出てくるには胃腸が正しく運動していなければいけません。
しかし、食物中の繊維質の量が少なかったり(牧草の不足)、ストレス(環境の変化、痛み、歯の問題、腎臓病、肝臓病など)があると胃腸の働きが鈍くなり、胃腸の内容物の移送がうまくいかなくなったりすることがあります。
胃腸の運動性が落ちると…⇒さらに食欲が無くなる⇒さらに胃腸の運動性が落ちる、という悪循環に陥ってしまいます。
症状としては、食欲が無くなり、うんちの大きさが小粒になり、量も減ってきます。完全にうんちが出なくなるケースもあります。胃腸の動きが悪くなるとお腹にガスが溜まりうずくまったり、痛がって歯ぎしりをしたりすることもあります。
診断は、歯に問題が無いか、腎臓は大丈夫か、肝臓は大丈夫かなど根本にある原因を調べていきます。
治療は根本にある原因の治療をするのと胃腸が動き出してくれるように期待して、皮下点滴、痛み止め、腸の動きを良くする薬を使っていきます。
またお家では食事を流動食にして少しでも強制給餌することがとても大切です。
このような治療で大抵は改善してくるのですが、毛玉や異物が胃腸に詰まったりして閉塞している場合など内科的治療に反応がなければまれに手術をしないといけなくなることもあります。
胃腸の運動性低下を起こさないためには食事管理がとても大切になり、チモシーなどの牧草を欠かさず与えて繊維をとらせてあげてください。(小さいときから牧草中心の食生活をして慣れさせましょう)
この時期は毛が抜ける時期なので、毛づくろいした毛を飲み込んでしまい胃腸で詰まってしまうこともありますので毎日ブラッシングしてあげましょう。
犬猫など他の動物と違いよりデリケートな動物で1~3日間以上食欲が低下したウサギさんは命にかかわるので、できるだけ早く治療を始めなければなりません。
食欲が無いようなら様子を見ずに早めに動物病院へ連れていってあげて下さい。