ウサギの症例

うさぎの輸血

昨日、子宮疾患のうさぎさんの手術をしたのでこの病気について書いてみます。

うさぎは子宮の病気の発生頻度がとても高く、
3歳を超えると80%の雌うさぎに子宮疾患が発生するといわれています

症状
末期的な状況にならない限り、元気・食欲に異常が現れにくいため発見が遅れがちになります。
子宮の病巣からの出血がある場合は尿に血液が混じるので、血尿が心配で来院されこの病気が発見されます。
進行すると、動きたがらない、眼や鼻の粘膜が白い、呼吸が速いなどの症状が表れます。

検査
超音波検査や、X線検査で状態を把握します。貧血が進行していることもあるため血液検査も実施します。

治療
開腹手術をおこない、子宮と卵巣を摘出する以外に治療法はありません。
しかし、状態によってはリスクが高いケースもあります。

予防
1歳ごろまでに避妊手術を済ませておけば予防できます
避妊手術を受けていない雌うさぎさんは定期的な健康診断を受け、早期発見が必要です。


今回、来院されたのは女の子のうさぎで、以前から血尿が出ており
「最近になって結膜や皮膚の血の気が無くなってきた」という主訴で来院されました。

こういった場合、子宮疾患か泌尿器疾患かどちらかが原因になっているか調べる必要があります。
詳しく調べてみると、子宮疾患の可能性が高いことがわかり治療(手術)することになりました。

ところが、持続的に大量出血しているため血液の濃さを表すPCV値が10%前半しかありません。
重度の貧血のため、手術のリスクが非常に高く残念ながら手遅れかと思われました。

しかし、飼主さんはあきらめずに手を尽くされ、
輸血ドナーのうさぎさんを見つけて連れてきて頂けたので輸血を実施し、
無事麻酔や手術を乗り越え、奇跡の復活を遂げ無事に本日退院していってくれました。

避妊手術を受けていない雌うさぎで尿に血が混じることに気づかれたら早めに来院してください。
また、犬猫うさぎ問わず輸血が必要になるケースを想定して、輸血仲間?を作っておくのがよいでしょう。


↑子宮疾患によって血が大量に出続けています


↑※閲覧注意:摘出した子宮(内部で出血しています)