ウサギの症例

うさぎの斜頸

今回はウサギさんの病気の紹介です。
首を傾けてしまい、立っていられずクルクル回転してしまうウサギさんが来院しました。

こういった症状の場合にうさぎで多い原因は、細菌性内耳炎、中耳炎、脳膿瘍、エンセファリトゾーン感染(胞子で感染していく菌)、外傷、腫瘍などが考えられます。(特に内耳炎エンセファリトゾーン感染が多いといわれています)

症状:
一般的には急に発症することが多く、クルクル転倒する(ローリング)、斜頸(首を傾ける)、眼振(眼が振れる)などがみられます。

検査・診断:
まず外耳炎など耳の異常がないかを調べていきます。また、エンセファリトゾーンが疑われる場合には血液を採取し抗体価を測定していきます。

介護方法:
船酔いみたいに気持ち悪くて食事をとらないうさぎが多いので、食べれない・飲めないうちは点滴が必要なこともあります。食べれない場合は流動食を与えたり、嗜好性の高い野菜(パセリ、ニンジンの葉、ほうれん草など)や乾草、ペレットを与えます(※高脂肪、高炭水化物のものはダメ)。
またローリングして眼を打って痛めたりすることもあるので段差やぶつけそうなものを撤去しておくなども必要になります。

治療:
中耳炎、内耳炎の場合は抗生物質をつかっていきます(最短でも4週~数か月必要なこともあり)。
エンセファリトゾーンに対してはベンズイミダゾール系の駆虫薬をつかいます。
またステロイド薬で炎症を改善させる方法もありますが、副作用がでる可能性もあるため状態をみて使うかどうか決めていきます。

予後:
頭部の斜頸が残ることもあります。しかし、多くのウサギさんは慣れてくれて普通に生活できるようになります。

今回のうさぎさんは斜頸とローリングなどがみられましたが、2週間ほどでローリングが治まり斜頸がだいぶ改善し、1か月ほどで正常と変わらないほどにまで回復しました。飼い主さんは介護がとても大変だったとおもいますが無事に乗り越えてくれてよかったです